令和4年度宅建本試験問題・重要論点解説「特別法」

宅建
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こんにちは、宅建講師の大野翠です。
今回は令和4年度宅建本試験のうち「特別法」の重要論点について解説していきます。
特別法とは問11~14にあたる部分で、借地借家法、区分所有法、不動産登記法から出題されます。

令和4年度の本試験で出題されたテーマは次の通りです。

  • 問11 借地借家法(借地)
  • 問12 借地借家法(借家)
  • 問13 区分所有法
  • 問14 不動産登記法

問11および問12は借地借家法からの出題で、令和4年度は借地と借家からそれぞれ1問の出題でした。借地借家法は特別法の中でも対策が取りやすく、少なくとも2問中1問は得点できる人が多いです。

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【問11】借地借家法(借地)の重要論点解説

令和4年度出題の問11は借地の問題ですが、肢ごとに論点が違います。どの肢も比較的基本論点を抑えることで攻略できる問題だったと考えます。ただし、本番では緊張のあまり読み飛ばしや勘違いが発生することもあります。落ち着いて一言ずつ解釈しながら解き進めると良いでしょう。

それでは早速、本試験問題を基に重要論点を確認していきましょう。

【問11】
建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約(定期借地権及び一時使用目的の借地権となる契約を除く)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 借地権の存続期間が満了する前に建物の滅失があった場合において、借地権者が借地権の残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造することにつき借地権設定者の承諾がない場合でも、借地権の期間の延長が生ずる。

2 転借地権が設定されている場合において、転借地上の建物が滅失したときは、転借地権は消滅し、転借地権者(転借人)は建物を再築することができない。

3 借地上の建物が滅失し、借地権設定者の承諾を得て借地権者が新たに建物を築造するに当たり、借地権設定者が存続期間満了の際における借地の返還確保の目的で、残存期間を超えて存続する建物を築造しない旨の特約を借地権者と結んだとしても、この特約は無効である。

4 借地上の建物所有者が借地権設定者に建物買取請求権を適法に行使した場合、買取代金の支払があるまでは建物の引き渡しを拒み得るとともに、これに基づく敷地の占有についても、賃料相当額を支払う必要はない。

正解肢は3で正しい内容です。1,2,4は誤った内容です。

1は、借地権存続期間満了前の建物滅失に関して問われています。この場合でも借地権自体は存続します。ただし、借地権設定者の承諾がある場合には、借地権者は当初の残存期間を超えて存続すべき建物を築造できます。借地権設定者が承諾した日、または築造した日のいずれか早い方から20年間存続します。つまり、本問中の「借地権設定者の承諾がない場合でも」が誤りであり、「承諾がある場合に限り」が正しい表記です。

2では、転借地権という少々聞きなれない用語が出てきました。なお、借地権者と転貸借契約を結んでいる人を転借地権者(転借人)といいます。転借地権者に適用されるルールは、借地権者に及ぶものと同様です。肢1の解説と同様に転借地権も借地権設定者の承諾がある場合に限り、借地権設定者の承諾があった日または建物が築造された日のいずれか早い方から20年間存続します。つまり「再築することができない」ではなく、再築可能が正しい内容です。

3は正しい内容で正解肢です。借地権者に不利な内容となるため、このような特約は無効です。借地借家法とは、借りている立場の人を守る制度趣旨があります。その視点で考えると、借主保護にはあたらないため、問題文の通り「特約は無効」と考えるのがスムーズです。

4では、建物買取請求権の行使に関する問題です。いくら適法に建物買取請求権を行使したとしても、買取代金の支払いがあるまで敷地を占有していた場合の賃料を払わないで良いということはありません。建物買取請求権と、敷地の占有に関する賃料支払いは全く別の話です。したがって、建物買取請求権の行使に伴い、代金が支払われるまで敷地を占有する場合には賃料相当額を支払う必要があるということになります。

その他問題の解説

問13は区分所有法の問題で、すべての肢が頻出論点ではないかと考えます。少々難しかったのは肢1ではないでしょうか。肢1は誤りの内容で正解肢ですが、区分所有者のために原告または被告になっているので、各区分所有者には少なくとも通知してあげましょう。肢2~4が正しい内容ですので、たとえば1がよくわからなくても消去法で選べたのではないでしょうか。

問14は不動産登記法でした。肢3はかなり細かい知識です。「登記権利者が登記識別情報の通知を希望しない旨の申し出をしたときは、当該登記に係る登記識別情報は通知されない」ということです。実際の実務上ではあまりないですが、登記権利者が希望しないのではれば通知されないのだな、くらいに認識しておくと良いでしょう。優先的に覚えたい内容ではありませんが、せっかく本試験で出題された論点ですのでこの際確認しておく程度で良いです。

まとめ

令和4年度宅建試験の特別法は、取り立てて難しいという問題(肢)はなかった印象です。よくわからない内容や、これまでに見たことない用語がでてきても、消去法でなんとか切り抜けられた人も少なくないでしょう。

宅建試験では、どこまで過去問を攻略できるかが合格を左右します。令和4年度の本試験問題も同様で、実際に出題されたからには肢ごとに確認し知識定着をはかりましょう。

大野翠

合同会社芙蓉宅建FPオフィス代表(宅地建物取引士/2級FP技能士)
宅建士・FP技能士の資格取得講師の傍ら、資格を生かした専門記事執筆は年間240本以上担当。
保険を売らない独立系FP・どこにも所属しないフリー宅建士として公平中立な立場で幅広く活動している。

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