今回は、学科6教科のうちの4科目目、「金融資産運用」のうち「債券」について解説していきます。
債券の基礎知識
債券とは、国や企業などが投資家からお金を調達する際の手段として用いられる借金のことを言います。
債券を発行することで、買い入れた投資家等は、提示されている期日(満期日)、額面金額、利子率、利払日、に応じて償還を受けたり、市場の動向に応じて途中で時価で売却したり、自由に取引することができます。
なお、発行元で名称が異なり、国が発行する債券は国債、地方公共団体が発行する場合は地方債、企業が発行するものは社債と言います。
債券の金額は、額面100円あたりの金額で表示されており、
- 額面100円と同額で発行される場合をパー発行
- 100円を超える価格で発行される場合をオーバーパー発行
- 100円未満の価格で発行される場合をアンダーパー発行
と言います。
債券の損益と利子
債券は満期まで所有していれば、額面金額で償還されます。
その場合、購入価格と比べて利益や損失が発生する場合があります。
オーバーパー発行の場合、額面との差額が損失となり、これを償還差損と言います。
一方、アンダーパー発行の場合、額面との差額が利益となり、これを償還差益といいます。
償還時の差損益を考えると、償還時に損失が出るオーバーパー発行で購入する必要はないと思いますが、実際はオーバーパー発行の場合、利子が他に比べて高い傾向にあります。
なお、額面に対する利子の割合をクーポンレートといい、利子がつく債券を利付債と言います。
アンダーパー発行の場合は利子がつかないことが多いです。
償還時の額面と発行価格の差額が利益となります。このタイプの債券のことを割引債(ゼロクーポン債)といいます。
債券の利回り
債券の利回りとは、当初の投資額に対する利息及び償還差益の割合のことです。
この利回りは、投資の可否や投資の結果に対する判断の材料となります。
債券投資に用いられる4つの利回り計算は以下になります。
直接利回り
直接利回りとは、投資金額に対する毎年の利息収入の割合のことです。
直接利回り(%)は、表面利率÷購入価格×100で求めることができます。
応募者利回り
応募者利回りとは、債券の発行時に購入して、満期である償還期限まで所有した場合の発行価格に対する年間の収益割合のことです。
応募者利回り(%)は、{表面利率+(額面(100円)−発行価格)÷償還期限(年)}÷発行価格×100で求めることができます。
最終利回り
最終利回りとは、すでに発行されている債券を時価で購入し、満期である償還期限まで所有した場合の購入価格に対する年間の収益割合のことです。
最終利回り(%)は、{表面利率+(額面(100円)−購入価格)÷残存年数(年)}÷購入価格×100で求めることができます。
所有期間利回り
所有期間利回りとは、新規発行の債券または既発行の債券を購入し、償還期限を待たずに途中で売却した場合の購入価格に対する年間の収益割合のことです。
所有期間利回り(%)は、{表面利率+(売却価格−購入価格)÷所有期間(年)}÷購入価格×100で求めることができます。
債券のリスク
債券は国内の国債、地方債、社債だけでなく外国の債券など非常に多くの債券が存在しており、それらの債券は金利や経済情勢、また発行元の破産など様々なリスクを抱えています。
代表的なリスクは以下の4つとなります。
価格変動リスク
価格変動リスクとは、市場金利の変動で、債券価格が変動してしまうリスクです。
市場金利が上昇すると、債券価格は下落し、利回りは上昇します。一方、市場金利が下落すると、債券価格が上昇し、利回りは下落します。
上記のように、債券は金利の上昇で価格が下落する傾向にあるため、期間の長い債券(長期債)ほど、期間が長いぶん金利上昇に遭遇する確率が高いので、価格変動リスクが大きいと言えます。
信用リスク
信用リスクとは、デフォルトリスクとも呼ばれ、債券の元本や利息の支払いが遅延したり、その一部または全部が支払われなかったりするリスクのことを言います。
例えば、企業が発行する社債であれば、その企業の業績などが悪化することで、債券の利子や償還される予定の金額の全部または一部が支払われなくなります。
債券投資にあたっては投資先の国や企業などの信用リスクを把握しておく必要があり、民間の格付け会社が公表している格付けが1つの目安になります。
格付けとは、債券の発行者の信用度を表す指標となるもので、A、B、C、Dの順に3段階ずつの評価をしているもので、AAAが最も評価が高く、Dが最も低い評価となります。BBB以上を投資適格債、BB以下を投資不適格債または、ジャンク債やハイ・イールド債と呼ばれています。
なお、格付け評価が高い債券ほど破綻リスクは低いので、債券価格は高くなり、利回りは低くなります。一方、格付けが低い場合は、債券価格は安くなり、利回りが高くなります。
流動性リスク
流動性リスクとは、債券の取引量が少ない場合、債券を途中で売ろうと思ってもすぐに売れなかったり、希望する価格で売れなかったりするリスクのことを言います。
カントリーリスク
カントリーリスクとは、外国の債券に投資する場合の、その国の経済情勢等の影響で、投資した資金が回収不能になるなどのリスクのことを言います。
まとめ
今回は、学科の6教科の3科目目「金融資産運用」のうち「債券」についてお伝えしました。
普段ニュースなどで耳にすることがあっても中々勉強する機会がない項目だったのではないでしょうか。
市場との関係やリスクについては頻出項目になりますので、しっかり復習しましょう。
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