今回は、学科6教科のうち4科目目「タックスプランニング」のうち「各所得の計算」の続きから「課税標準の計算」について解説していきます。
一時所得
一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得以外の所得のうち、一時的なものを言い、総収入金額―支出金額―特別控除額(最高50万円)で求めることができます。
課税方法は総合課税となり、所得金額の2分の1だけを他の所得と合算できます。主な一時所得としては以下のようなものが挙げられます。
- 懸賞、福引、クイズの賞金
- 競馬、競輪などの払戻金(営利目的の反復的行為から生じたものは除きます)
- 生命保険の満期保険金や損害保険の満期払戻金
- ふるさと納税の返礼品
なお、宝くじの当選金やノーベル賞の賞金などは非課税となります。
また、心身に加えられた損害または突発的な事故により資産に加えられた損害について取得した保険金や損害賠償金も非課税となります。
雑所得
雑所得とは、今まで紹介したどの所得にも属さない所得のことを言います。
主な雑所得として以下のものが挙げられます。
- 公的年金等の雑所得
国民年金、厚生年金などの公的年金や、国民年金基金、厚生年金基金、確定拠出年金などの年金が当てはまります - 公的年金等以外の雑所得
生命保険などの個人年金保険や、講演料や作家以外の原稿料などが当てはまります。
また、雑所得は、公的年金等の雑所得(収入金額―公的年金等控除額)+公的年金等以外の雑所得(総収入金額―必要経費)で求めることができます。
課税標準の計算の概要
課税標準とは、税金の課税対象となる所得の合計金額のことを言い、今まで見てきた10種類の所得を損益通算し、損失の繰越控除をすることで算出します。
損益通算
損益通算とは、所得の中で損失と利益を相殺することを言います。
なお、損益通算できる損失は限定されており、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得で生じた損失のみが適用されます。
ただし、損益通算できる所得の損失でも、以下の損失は損益通算できません。
- 不動産所得の損益通算の例外
土地を取得するための借入金の利子(ただし、建物を取得するための借入金の利子であれば損益通算可能です) - 譲渡所得の損益通算の例外
- 生活に必要でない資産の譲渡によって生じた損失(別荘、クルーザー、30万円超の宝石類、ゴルフ会員権などが当てはまります)
- 土地・建物等の譲渡損失(ただし、一定の居住用財産の譲渡損失は要件を満たせば損益通算可能です)
- 株式等の譲渡損失
損益通算の流れ
損益通算の流れは以下のようになります。
所得を経常所得と一時的な所得に分け、それぞれ損益通算する。
経常所得とは、一時的ではなく通常発生する所得のことを言い、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、雑所得がそれに当てはまります。
一方、一時的な所得とは、一時的に発生した所得のことを言い、譲渡所得、一時所得がそれに当てはまります。
それぞれで損益通算した経常所得と一時的な所得で損益通算する。
経常所得が赤字の場合、その赤字を一時的な所得から引きますが、その際は先に譲渡所得の方から引きます。
一時的な所得が赤字の場合、経常所得からそのまま引きます。
上記までで算出した総所得金額と、残りの山林所得及び退職所得と損益通算します。
総所得金額が赤字の場合、その赤字を山林所得及び退職所得から引きますが、その際は先に山林所得の方から引きます。
損失の繰越控除
損益通算しても控除しきれなかった損失額のことを純損失と言います。
青色確定申告者の場合、純損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し、各年の黒字の所得から控除することができます。
また、災害や盗難等によって損失が生じた場合、その損失は所得から控除することができ、これを雑損控除と言います。
雑損控除しても控除しきれなかった損失額のことを雑損失と言い、純損失と同じく、翌年以降3年間にわたって繰り越すことができます。
まとめ
今回は、学科の6教科の4科目目「タックスプランニング」」のうち「各所得の計算3〜課税標準の計算」についてお伝えしました。
今回で各所得の計算についてはラストとなりましたが、いかがでしょうか。10種類もあると中々覚えるのが大変かと思われますが、1つ1つに分けていくと、身近な所得も多くそこまで難しくはありませんので、しっかりポイントを押さえていきましょう。
また、今回は今まで見てきた所得から実際に課税標準を算出するための損益通算の流れについても解説しました。普段確定申告されない方にとっては、イメージがつきにくいと思いますので、自分でも調べていただいてしっかり復習しましょう。
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