これまで簿記2級を受験したことがない人にとっては、そもそもどうやって勉強したら良いのかもわからず不安かもしれません。
筆者が経験者としてアドバイスできることがあるとすれば「工業簿記は満点狙いで」といったところです。今回の記事では詳しい理由と具体的な勉強法を解説します。
工業簿記を制するものが簿記2級を制する理由
大切なことなので最初に言います。工業簿記を制するものが簿記2級を制するといっても過言ではありません。
つまり、工業簿記を得点源にできれば、簿記2級の合格は近づきますが、理由を説明しましょう。
出題範囲が狭く、例年あまり変わらない
商業簿記は出題範囲が広く、改訂も頻繁に行われています。たとえば2022年の場合、2021年までの内容に「様々な財又はサービスの顧客への移転」が新たに加わりました。
毎年のように項目が追加・削除されているので、常にそれを意識して勉強しなくてはいけません。
一方、工業簿記は商業簿記に比べるとはるかに出題範囲が狭いです。細かい改訂こそあるものの、大幅な改訂が頻繁に行われるわけではありません。
テキストや問題集を一通り勉強すれば、試験に太刀打ちできるだけの実力は十分に身につくでしょう。
全体で70点取れれば良いと考える
簿記2級の合格最低点は70点です。簿記1級のように科目ごとの足きりがあるわけではありません。そのため、工業簿記で満点の40点を確保し、商業簿記で30点積み上げることができれば合格できます。
実際のところ、商業簿記で満点を目指すのは、範囲が広く、頻繁に入れ替わりがある点を鑑みると現実的ではありません。まずは「どうすれば確実に70点をキープできるか」を考えましょう。
簿記2級に合格するための点の取り方は?
「まずは70点キープ」を前提にした場合、どうすればそれを達成できるか、具体的な戦略について解説します。
簿記2級本試験の得点配分
前提として、簿記2級本試験における得点配分を理解しましょう。分かりやすくするために表にしました。
設問 | 分野 | 点数 |
第1問(商業簿記) | 仕訳問題 | 20点 |
第2問(商業簿記) | 特定分野の個別問題 | 20点 |
第3問(商業簿記) | 決算整理絡みの総合問題 | 20点 |
第4問(工業簿記) | 仕訳問題、勘定記入、製造原価報告書の作成 | 28点 |
第5問(工業簿記) | 各種原価計算など | 12点 |
工業簿記は満点狙い
表からもわかるように、工業簿記の配分は100点満点中40点です。そのため、工業簿記で満点=40点を取れれば、あとは商業簿記で30点積み上げると合格できます。
1問間違える可能性を考えても36点はキープしたいところです。既に触れた通り、出題範囲や傾向が大幅には変わりにくいため、反復練習で満点は十分に目指せます。
商業簿記は42点以上を狙う
一方、商業簿記については7割にあたる42点狙いでいきましょう。詳しい理由は後述しますが、基本的な知識が身についていれば十分に実現できる点数です。
簿記2級に合格するための勉強のポイントは?
ここまでの内容を踏まえて、簿記2級に合格するための勉強のポイントを考えてみました。
勉強する順番を考える
初めて簿記2級の勉強をする場合は、以下の順番で勉強しましょう。
- 最初に簿記3級の復習
- 次に工業簿記
- 最後に商業簿記の2級のみの論点を勉強する
※適宜問題演習は進めていく
なぜこの順番なのか、理由を説明します。
大前提として、簿記2級の商業簿記の問題は、簿記3級の知識があることが前提で作られています。つまり、簿記3級の知識があいまいなままでは手も足も出ません。
簿記3級に合格してすぐに簿記2級の勉強を始めるなら気にする必要はありませんが、間が空いている場合はまずは復習から始めましょう。
ある程度商業簿記の見込みが立ってきたところで、工業簿記の勉強に着手します。
その後、商業簿記のうち、簿記2級でのみ出題される範囲を勉強すれば、一通りの知識はインプットできるはずです。
また、並行して問題演習=アウトプットも進めていきましょう。
商業簿記は仕訳をまず覚える
商業簿記の勉強をする際は、まず仕訳を理解し、覚えるのを意識しましょう。
簿記2級の本試験第1問は商業簿記の仕訳の問題です。ここで全問正解できればそれだけで20点取れるので、ぜひ得点源にしましょう。あとは第2問、第3問で22点取れれば目標達成可能となります。
また、仕訳を理解し、覚えるのは簿記の問題を解く上でも重要なスキルになります。
簿記の重要な目的の1つは損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を作ることです。これらの財務諸表を正確に作るためには、正確な仕訳が欠かせません。
スピーディーかつ正確に仕訳ができれば勝算があると考えましょう。
工業簿記はとにかく手を動かす
工業簿記はとにかく手を動かし、問題演習を重ねるのが大事です。
工業簿記の最終的なゴールは製品の製造原価や月次損益を求めることで、試験で出題される問題もこれを意識したものとなっています。計算量が多く、四則演算を使いこなせないと難しいですが、ある程度は慣れでカバーできる部分もあります。日々の練習が大切です。
時間を測って過去問を解く
本試験が近づいてきたら、時間を測って過去問を解くようにしましょう。
大切なのは試験時間90分の間に7割を確実に取れるかなので、それを意識して練習するのは非常に意義があります。できれば、1~2回は模擬試験も受験しておきましょう。
受験日から逆算してスケジュールを立てる
受験勉強をする際は、受験日から逆算してスケジュールを立てましょう。
「いつ、何をやるのか」が明確になっていないと勉強しづらいのも事実だからです。
会場試験での受験を考えているなら試験日に、ネット試験での受験を考えているなら一定の日から逆算してスケジュールを立てるようにしましょう。もちろん、仕事や家庭、体調の都合で計画に狂いが生じた場合は、適宜見直してください。
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