令和4年度宅建本試験問題・重要論点解説「宅建業法前半(問26~35)」

宅建
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こんにちは、宅建講師の大野翠です。

令和4年度宅建本試験の重要論点解説も、いよいよ本試験のヤマである宅建業法に突入します。ご存知の通り宅建業法は20問出題され、本試験全体50問のうち大きなウエイトを占めています。つまり宅建業法の攻略は、宅建試験合格を目指すなら避けて通れないということです。

そこで今回は、20問の中から、今後の試験対策として重要だと考えられる論点についていくつかプックアップして紹介します。また、20問全てを一度に解説するのは長すぎるので、宅建業法を10問ずつ前半と後半に分けて解説します。今回は前半部分(問26~35)までのうち、重要論点を解説していきます。

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宅建業法(問26~35)の出題内容

令和4年度本試験における宅建業法の出題内容は次の通りです。

・問26 事務所
・問27 報酬
・問28 重要事項説明
・問29 宅建士
・問30 業務上の規制
・問31 媒介
・問32 37条書面(契約書面)
・問33 宅建士
・問34 重要事項説明
・問35 35条・37条など複合問題

ここまでの出題で特徴的なのは、問30と問33が個数問題であることです。選択肢ごとの難易度はそこまで高くないものの、個数問題にすることでグっと難しく感じてしまいます。

なぜなら解答テクニックとしての消去法が使えないからです。全ての選択肢の正誤をはっきり解答できるだけの学習が必要です。

なお、宅建業法後半部分(問36-45)までのうち、問37,40,41も個数問題です。つまり、令和4年度の宅建本試験の宅建業法では、個数問題が5問も出題されています。より正確な知識を問われる傾向は、今後の本試験でも続くのではないかと考えられます。

問34・重要事項説明

宅地建物取引業者が建物の売買の媒介の際に行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。

1.当該建物が既存の建物であるときは、宅地建物取引業法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を過去1年以内に実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を説明しなければならない。

2.当該建物が宅地造成等規制法の規定により指定された造成宅地防災区域内にあるときは、その旨を説明しなければならない。

3.当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容を説明しなければならない。

4.当該建物(昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手したもの)が指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関又は地方公共団体による耐震診断を受けたものであるときは、その旨を説明しなければならない。

誤っているものを選べという問題で、誤った内容につき正解となるのは4です。今回の問34は、非常に細かい論点でした。論点というよりも、日本語の解釈のような問題だったかもしれませんね。4の問題文を再度確認してみると、気になるのが文末あたりで記載されている「その旨を説明」です。

選択肢4で訊かれていることを要約すると「当該建物が耐震診断を受けている場合には、その旨の説明が必要であるか否か」ということになります。つまりこの場合の「その旨」とは、「耐震診断を受けているかどうか」を指していると考えられます。

一方で、耐震診断を受けている場合は診断内容についての説明も必要であり、「診断してますよ」というだけでは説明不足であると考えます。そのことから、選択肢4は誤った内容と判断されます。

選択肢1~3は、ごくごく基本的な内容を問われているため、選択肢4まで読み終えた後に「全て正しい内容はないか?」と不安になった人も少なくないかもしれません。通常は4つの選択肢を読み終えるうちに、正誤の判断がはっきりすることがほとんどです。もしくは、せいぜい2択まで絞れることも多いでしょう。しかし今回は「全て正しい?」と困惑してしまう内容でした。このような場合には、再度問題文に戻り一言一句しっかり読むことが解答のポイントになります。

今回の問34で唯一手掛かりになるとすれば、選択肢3で石綿の使用の有無に関する調査結果の説明に関しては「その内容」と記載されています。一方で選択肢4では「その旨を説明」と、かなり簡略化している印象があります。このことから「その旨を説明だけでいいのかな?怪しいな」と感じ取ることが出来れば、正解へ近づく考えができるのではないでしょうか。

問35・業務上の規制に関する複合問題

次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1.宅地建物取引業者の従業者である宅地建物取引士は、取引の関係者から事務所で従業者証明書の提示を求められたときは、この証明書に代えて従業者名簿又は宅地建物取引士証を提示することで足りる。

2.宅地建物取引業者Aが所有する甲建物を法人Bに売却するに当たり、Bが宅地建物取引業者であるか否かにかかわらず、AはBに対し、宅地建物取引士をして、法第35条の規定に基づく書面を交付し説明をさせなければならない。

3.法人Cが所有する乙建物の個人Dへの賃貸を宅地建物取引業者Eが媒介し、当該賃貸借契約が成立したときは、EはDに対し、宅地建物取引士をして、法第35条の規定に基づく書面を交付し説明をさせなければならない。

4.宅地建物取引業者Fが所有する丙宅地を法人Gに売却する契約を締結したとき、Gが宅地建物取引業者であるか否かにかかわらず、FはGに対し、法第37条の規定に基づく書面を交付しなければならない。

近年、問35のような宅建業に関する縦断的な知識を問う複合問題が増えています。このような問題は、選択肢4つ全てが同じテーマの知識で解けるわけではないため、人によっては知識が混乱してしまう問題です。対策としては、肢を読み進めるごとに一問一答を解いている感覚で、平常心で対応しましょう。本試験を迎えるまでには、沢山の演習をこなしてきているはずです。一問一答の活用も推奨していますので、ぜひこのような複合問題が出題されたときは、一問一答の演習を思い出して落ち着いて解答しましょう。

さて、問35の正解は4で正しい内容です。業者が自ら売主の場合、37条の書面は相手方が業者かどうかに関わらず必ず交付する義務があります。シンプルに基本項目を問われています。

選択肢1は、従業者証明書の提示に関する内容です。従業者名簿や宅建士証と、従業者証明書は全く別のものですので、代用することはできません。

選択肢2は、取引の相手方が宅建士である場合の35条書面の交付と説明に関する内容です。相手方が宅建業者である場合は交付するたけでよく、説明は不要です。そのため問題文中の「Bが宅地建物取引業者であるか否かにかかわらず」という表記が誤りということになります。

選択肢3は、35条書面を交付するタイミングに関する内容です。35条書面は重要事項説明書のことですので、当然契約前に交付し説明する必要があります。しかし問題文中では、契約が成立した時には35条書面を交付し説明する、という表記がされています。しっかり読み解くと、タイミングがおかしいことに気づきます。契約が成立した時に35条書面を交付しても遅く。成立前の交付や説明という流れが正しい内容になります。

まとめ

宅建試験は50問あり、今回解説した宅建業法だけでも20問あります。問題を解く順番は人によって違いますが、問題を解き進めていると脳が疲労し、普段読み飛ばさないような表記を読み間違えたり、勘違いをすることもあります。

今回紹介した問34と問35は、いずれも問題文を正しく読み解き、理解することで得点できる内容でした。なるべく脳が疲れないような順番で問題を解き進めることや、日頃の演習でも時間を意識して解くことで、極力読み間違いが無いようにしていきましょう。

大野翠

合同会社芙蓉宅建FPオフィス代表(宅地建物取引士/2級FP技能士)
宅建士・FP技能士の資格取得講師の傍ら、資格を生かした専門記事執筆は年間240本以上担当。
保険を売らない独立系FP・どこにも所属しないフリー宅建士として公平中立な立場で幅広く活動している。

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