令和4年度宅建本試験問題・重要論点解説「宅建業法後半(問36~45)」

宅建
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こんにちは、宅建講師の大野翠です。今回は、令和4年度宅建本試験、重要論点解説の宅建業法後半です。問36~45のうち、今後も対策しておきたい問題についてピックアップして解説していきます。

問26~35までの宅建業法前半部分もあわせて参考になさってください。

令和4年度宅建本試験問題・重要論点解説「宅建業法前半(問26~35)」

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宅建業法後半(問36~45)・出題内容

・問36 重要事項説明
・問37 広告規制(個数)
・問38 クーリングオフ
・問39 保証協会
・問40 重要事項説明(個数)
・問41 営業保証金と保証協会(個数)
・問42 媒介契約(専属専任)
・問43 自ら売主8種制限
・問44 37条書面
・問45 住宅瑕疵担保履行法

問37・問41・問44と、宅建業法後半部分だけでも個数問題が3問出題されています。問26~35の前半部分においても2問の個数問題がありますので、業法全体では5問も出題があるということです。

個数問題は、消去法が通用せず、すべての選択肢の理解が求められます。20問中5問ということは、業法全体の1/4が個数問題ということです。

50問ある宅建試験全体で考えても、宅建業法の出題数はもっとも多く、得点源になりうるテーマです。宅建業法における個数問題は今後も5問前後は出題されると推察されます。したがって、宅建業法の知識は最優先で確実にしておく必要があるといえます。

問37・広告規制(個数問題)

宅地建物取引業者Aがその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア Aが未完成の建売住宅を販売する場合、建築基準法第6条第1項に基づく確認を受けた後、同項の変更の確認の申請書を提出している期間においては、変更の確認を受ける予定であることを表示し、かつ、当初の確認内容を合わせて表示すれば、変更の確認の内容を広告することができる。

イ Aが新築住宅の売買に関する広告をインターネットで行った場合、実際のものより著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示を行ったが、当該広告について問合せや申込みがなかったときは、法第32条に定める誇大広告等の禁止の規定に違反しない。

ウ Aが一団の宅地の販売について、数回に分けて広告をするときは、そのたびごとに広告へ取引態様の別を明示しなければならず、当該広告を見た者から売買に関する注文を受けたときも、改めて取引態様の別を明示しなければならない。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 なし

問37は、広告規制に関する内容を問う問題です。選択肢ごとに訊かれている内容の難易度自体は高くありませんが、個数問題として出題されているだけで苦手意識をもってしまう受験生も少なくないでしょう。落ち着いて丁寧に読み解くことが、得点のポイントとなります。

アは、正しい内容です。工事完了前の未完成物件に関する変更の確認について問われており、正しい内容です。まず問題文中でチェックするのは、工事完了前ではありますが、すでに建築確認が済んでいるという点です。未完成物件でも建築確認が済めば、広告はしても良いです。
ただし本問の場合「変更の確認を受ける予定であることを表示し、かつ、当初の確認内容を合わせて表示すれば」とあります。最初に行っている建築確認後に変更の確認を受ける予定で、なおかつ当初の内容とあわせて表示するということですが、これもオッケーです。
ここで抑えたいのは、工事完了前の物件は、あくまでも建築確認等を済ませなければ広告ができないという点です。さらに変更の場合には、その旨をあわせて表示することで広告OKですよ、ということもあわせて抑えましょう。

イは、誤った内容です。どのような媒体での広告であっても規制の対象となるという点を抑えましょう。たとえ顧客から問い合わせがなかったとしても、誇大広告等に該当する表示をしているだけで規定違反となります。
この論点は、過去にも繰り返し出題されているため必ず抑えましょう。

ウは、正しい内容です。取引態様の別はとの都度明示が必要です。顧客がどの広告を見るかわかりません。そのため、正しい表示としていつ、どの媒体にも取引態様は明示が必要です。

広告規制に関する問題は、選択肢アのように宅建業法独特の規制に基づくものから、イやウのように宅建業法の知識プラス常識的な判断が求められるものもあります。宅建業法の知識だけで判断に悩む場合には、より顧客を守る視点で考えると正誤が見えてきます。

問45・住宅瑕疵担保履行法

特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引業者は、自ら売主として宅地建物取引業者である買主との間で新築住宅の売買契約を締結し、その住宅を引き渡す場合、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負う。

2 住宅販売瑕疵担保責任保険契約は、新築住宅の引渡し時から10年以上有効でなければならないが、当該新築住宅の買主の承諾があれば、当該保険契約に係る保険期間を5年間に短縮することができる。

3 自ら売主として新築住宅を販売する宅地建物取引業者は、基準日から3週間を経過する日までの間において、当該基準日前10年間に自ら売主となる売買契約に基づき宅地建物取引業者ではない買主に引き渡した新築住宅(住宅販売瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅を除く。)について、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしていなければならない。

4 宅地建物取引業者が住宅販売瑕疵担保保証金の供託をし、その額が、基準日において、販売新築住宅の合計戸数を基礎として算定する基準額を超えることとなった場合、宅地建物取引業法の免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事の承認がなくても、その超過額を取り戻すことができる。

正しいものを選べ、ということで正解肢は3です。3から内容を確認してみましょう。

3は、住宅瑕疵担保履行法の問題でほぼ毎回問われる知識です。「基準日から3週間を経過する日」がポイントです。3週間という数字は特徴的であり、また「基準日」という単位が出てくるのも住宅瑕疵担保履行法ならではです。必ず抑えましょう。

1は誤りの内容ですが、業者間では住宅瑕疵担保履行法の適用がないという基本論点です。あくまでも顧客を守るための履行法ですので、プロである業者へ適用はないということです。

2は誤りの内容です。買主の承諾を得ても、当該保険契約を引き渡しから10年以上を5年に短縮することはできません。承諾の有無に関わらず保険期間は必ず10年以上と覚えましょう。

4は誤りの内容でが、少し細かい論点を問われています。これまであまり出題されていない論点ですので、この選択肢をもって知識を整理しましょう。まず、供託している住宅販売瑕疵担保保証金が基準額を超えた場合の取り戻しは、必ず免許権者の承諾が必要です。そのため「国土交通大臣又は都道府県知事の承認がなくても」という点が、誤りの内容ということになります。

住宅瑕疵担保履行法は「3週間」「10年」「基準日」「基準日の翌日」などが頻出論点です。一方で、近年は選択肢4のように、少し細かい論点も交えてくる傾向にあります。

宅建試験では、問45には住宅瑕疵担保履行法が出題されるというのが毎回恒例になっています。また、出題傾向も比較的パターン化されており、宅建業法の中でも確実に1点取れるテーマでした。
しかし、近年は宅建業法の出題自体が若干難化しつつあり、住宅瑕疵担保履行法もその傾向にあるといえます。そのため、例えば模試で見かけた細かい論点なども、直前期には復習をして知識を確実にしておきたいところです。もちろん、基本となる過去問中心の学習が大原則です。

まとめ

宅建業法20問のうち、後半10問の中から重要論点を解説しました。繰り返しになりますが、いくら試験全体が難化しつつあるとしても、受験生のみなさんがやるべきことは過去問中心の演習です。

まずは基本となる知識を過去問演習でしっかり身に着け、そのうえで改正点や近年出題される論点なども枝葉として増やしていくイメージです。やるべきことは、日々の積み重ねです。体調管理にも留意し、毎日少しづつ知識を増やしていきましょう。

大野翠

合同会社芙蓉宅建FPオフィス代表(宅地建物取引士/2級FP技能士)
宅建士・FP技能士の資格取得講師の傍ら、資格を生かした専門記事執筆は年間240本以上担当。
保険を売らない独立系FP・どこにも所属しないフリー宅建士として公平中立な立場で幅広く活動している。

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