日本商工会議所が実施する簿記検定(日商簿記検定)は認知度が高く、毎年多くの人が受験しています。
特に、2級以上を取得していれば、就職・転職の際にアピールポイントにできるでしょう。「日商簿記検定2級以上必須」を応募条件の1つとして掲げている経理事務の求人も多くなっています。
また、税理士・公認会計士など税務・会計系の国家資格を受験する前段階として、必要な知識を身につけるために日商簿記検定2級を受験する人は珍しくありません。
いわば「会計の知識を活かして仕事をする上でのスタートライン」でもあるのが日商簿記検定2級ですが、決して簡単な資格ではないのも事実です。
しかし、やり方さえ考えれば独学で合格することは不可能ではないでしょう。
そこで、実際に日商簿記検定を受験し、合格した経験を持つ筆者が、独学で合格するために押さえるべきポイントを5つ、解説します。
「何のために」「いつまでに」を明確にする
日商簿記検定に限らず、資格試験を独学で受験する場合に問題になるのが、モチベーションの維持です。ただ何となく勉強を始めたのでは、途中で勉強に身が入らなくなってしまい不完全燃焼のまま試験日を迎えてしまうことにもなりかねません。
まずは、自分が「何のために」日商簿記検定2級を取得したいのか、考えてみましょう。
「将来は公認会計士になりたい」といったスケールの大きな目標はもちろん、「大学の単位として認めてもらえる」「合格できないと昇進できない」といった必要に迫られたことが理由であっても構いません。ただ何となく、でなければOKです。
そして、どんな理由で目指す場合であっても、「来年の6月の試験で合格する」など、時期をベースにした目標を立てるようにしましょう。
合格すべき時期が自分の中で明確になっていれば、逆算して勉強のスケジュールも立てられるはずです。
なお、日商簿記検定2級と3級は、2020年12月からネット試験でも受験できるようになりました。一部の施行休止期間はありますが、基本的には自分の都合が良い時期に受験できるので、有効活用しましょう。
あえて3級の勉強から始める
これまでに簿記の勉強をまったくしたことがないなら、いきなり日商簿記検定2級を受験するのではなく、まずは日商簿記検定3級の勉強から始めてみましょう。
日商簿記検定3級では、簿記理論の基礎を問う問題が出題されます。そして、これらの知識は日商簿記検定2級で出題される問題を解く上でも不可欠です。
つまり、日商簿記検定3級レベルの知識があることで、日商簿記検定2級の学習もスムーズに進められるようになります。
「時間がかかるのはちょっと」と思うかもしれませんが、一度基礎を身につけておけば後々楽になるため、腰を据えて取り組みましょう。
「スキマ時間」を有効活用する
大学などに通っていたり、仕事や家事をしていたりする場合、まとまった勉強時間を取るのはなかなか難しいかもしれません。
しかし、たとえ毎日5分しか時間が取れなかったとしても、3ヵ月続ければ7時間半(=5分×90日)にもなります。
「忙しいから勉強できない」ではなく「忙しくてもできることをやる」という気持ちで取り組みましょう。
そのためには、通勤・通学の合間、昼休みや寝る前のちょっとした「スキマ時間」を有効活用するのが大事です。
「5分間で仕訳の問題を解いてみる」「前に解いて間違った論点の見直しをする」など、5分あればできることはたくさんあります。
最近では、簿記2級の対策ができるスマホアプリも出ているため、このようなものを使うと良いでしょう。
「間違った問題リスト」を作る
日商簿記2級の勉強を独学で進める場合、テキストや問題集を買ってきて進めていく形になるでしょう。
テキストや問題集の最初から解いていく形になるはずですが、間違った問題については必ず記録を取り、「間違った問題リスト」を作ると効果的です。何度も同じ問題を間違えているのであれば、その問題に関連する部分の知識があまり身についていないことが考えられます。
また、知識は身についているものの、出題形式に慣れていない可能性もあるでしょう。
つまり「間違った問題リスト」を作ることで、自分はどんな点でつまずくのかがわかるようになります。
試験が近くなってきたら、自分がつまずいてしまいがちな論点を重点的に復習することで、安心して試験に臨めるはずです。
満点は目指さず、戦略的に点数を取る
日商簿記検定2級は100点満点の試験ですが、70点以上取れれば合格になります。構成は以下の通りです。
問 | 内容 | 配点 |
第1問(商業簿記) | 仕訳問題 | 20 |
第2問(商業簿記) | 個別論点 | 20 |
第3問(商業簿記) | 財務諸表・精算表 | 20 |
第4問(工業簿記) | 費目別計算・本社工場会計 | 第4問・第5問で合計40 |
第5問(工業簿記) | 原価計算 | 第4問・第5問で合計40 |
実際のところ、出題される範囲は非常に広く、難易度も年々上がっているため、満点を目指すのは現実的ではありません。
● 計算ミスは極力避けるよう努力する
● 簡単な問題は落とさない
● 「他の人ができていない問題は自分にもできない」と割り切る
など、戦略的に70点を超えるよう点数を取るのを目指しましょう。
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