簿記(日本商工会議所簿記検定=日商簿記検定)は、Webや書籍・雑誌で公開されている「役に立つ資格」「取ってよかった資格」といったランキングでたいてい上位にランクインしている資格です。一般的な認知度も高く、毎年たくさんの人が受験します。
しかし、なじみがない人は「どうしてここまで簿記が人気あるの?資格取ったら何か良いことあるの?」と疑問を覚えるかもしれません。
そこで、日商簿記検定1級合格者である筆者が考えた「簿記の資格を取得することのメリット」について解説します。
就職・転職に有利
一つ目のメリットは、就職・転職に有利であることです。
日商簿記検定を含め、資格を持っているからといって必ず就職・転職できるとは限りません。
しかし、履歴書の資格欄に何も書いていないのと、何か書いてあるのとでは受ける印象がまったく変わるはずです。
もちろん、資格だったら何でも良いというわけではありません。
ほとんど認知されていないような民間資格の名前を書いたとしても、担当者には伝わらないでしょう。
その点、簿記の資格であれば一般的な認知度が高いため、十分にアピールできます。
また、中途採用や派遣での経理事務の求人は、日商簿記検定2級以上に合格していることが応募条件になっているのも珍しくありません。
応募できる求人を広げる意味でも、取得しておくのに越したことはないでしょう。
他の資格取得への足がかりになる
二つ目のメリットは「他の資格取得への足がかりになる」ことです。
代表的な例として、税理士が挙げられます。
税理士試験を受験するには、まず受験資格を得なくてはいけません。
そして、大学の経済・商・法学部に通っていた人であれば受験資格は得られますが、それ以外の人が受験資格を得るには、日商簿記1級や全経簿記能力検定上級を取得する必要があります。
実際のところ、税理士試験では簿記論が必修科目であるため、たとえ経済・商・法学部出身だったとしても、日商簿記検定1級レベルの知識がなければ太刀打ちできません。
このような背景があるため、税理士試験を目指すに当たり、まず日商簿記1級の勉強をする人は多いのも実情です。
税理士以外でも、簿記の知識がないと試験勉強がスムーズに進められない資格はあります。
例えば、公認会計士では試験科目の1つに会計学があります。
この科目も、簿記の知識がないと理解しづらい知識を問う問題が多く出題されるのです。
また、中小企業診断士試験でも「財務・会計」といって、簿記の知識がないと太刀打ちできない内容を問う科目が設定されています。
このように、簿記資格の取得を通じて身につけた知識が、他の資格を勉強する際のベースになるのは珍しくありません。
副業をする際にも便利
三つ目のメリットとして「副業をする際にも便利」であることが挙げられます。
2018年に、厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表しました。
これを受けて、従来は副業・兼業が禁止されていたものの、本業に影響をきたさない程度であれば解禁する企業も増えています。
そして、たとえ会社員として勤務先から給料を受け取っていた場合でも、副業で得た収入については自分で確定申告をしないといけません。
確定申告をするにあたっては、帳簿を作成する必要がありますが、簿記の知識があったほうが格段にスムーズにつけられます。
さまざまな仕事に活かせる
四つ目のメリットとして「さまざまな仕事に活かせる」ことが挙げられます。
簿記の知識が活かせる仕事というと、一般企業の経理事務や会計事務所・税理士法人職員などを思い浮かべる人は多いかもしれません。
しかし、これらの仕事以外にも、簿記の知識を活かせる仕事はたくさんあります。
たとえば、土日を使って高校生や大学生に簿記を教えても良いでしょう。
高校・大学の中には、日商簿記検定をはじめとした簿記関連資格の取得が単位付与・進級の条件である学校もあります。
そのような学校に在学し簿記の勉強をしているものの、うまくいかなくて困っている学生にとっては、既に合格した先輩からのアドバイスは何よりも心強いでしょう。
また、簿記や経理の仕事に関する記事を書くWebライターになる際も、簿記試験の受験経験は役に立ちます。
実体験を活かせるのはもちろん、記事を書くにあたって分からないことがあっても、自分で調べて納得した上で文章が書けるのは大きな強みです。
簿記の資格は何かと役に立つから取って損はない
簿記の資格は、経理事務として仕事をしたい場合はもちろん、他の資格試験を受験するための基礎知識を身につけるのにも役立ちます。
こう書くと「いや、自分は経理の仕事をするつもりはないし」と思うかもしれません。しかし、人に教えたり、文章を書いたりなど、まったく違った形で活かすなど、案外使い道はあります。
「芸は身を助く」という言葉もあるように、知識はいくらあっても邪魔にならないし、どこかで役に立つはずです。
少しでも「やってみよう」と思えたなら、ぜひ簿記の資格取得にチャレンジしてみましょう。
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