今回は、学科の6教科の最初の1科目「ファイナンシャルプランニングと資金計画」のうち「雇用保険」について詳しく解説していきます。
雇用保険の概要
雇用保険制度とは、失業時の手当や再就職の支援、雇用保険加入者の能力開発等を目的に公共職業安定所が窓口となって各種給付等を行う制度です。
つまり、「働けなくなった人の生活を守るための公的保険」ということになります。雇用保険の加入対象者は、原則、会社の役員や個人事業主を除くすべての労働者が対象です。
短期労働者や派遣労働者、または65歳以上の労働者は1週間の所定労働時間が20時間以上、かつ、雇用継続の見込みが31日以上あることが要件となります。
雇用保険の給付は全部で4種類あります。今回はそのうちの1つ「求職者給付」について見ていきましょう。
求職者給付(基本手当)
求職者給付とは、失業保険とも呼ばれ、失業した人に対して給付を行うものです。
退職や解雇などにより失業してしまった場合、雇用保険から基本手当の支給を離職の日の翌日から最大1年間受けとることができます。これから特徴を見ていきましょう。
受給金額と所定給付日数
基本手当の給付総額は、「基本手当日額×所定給付日数」にて算出されます。
基本手当日額は、離職日以前6か月間の給与と年齢によって決定されます。具体的には賃金総額を180日で割った賃金日額に年齢に応じて一定割合を乗じて算出されます。
乗じる割合には、賃金日額や年齢に応じて45%〜80%の幅があり、賃金日額が多いほど割合は低く、賃金日額が少ない人ほど割合は高くなります。
基本手当日額は、永久に受給できるわけではなく、受給できる日数が決まっており、この受給できる日数のことを「所定給付日数」と言います。
所定給付日数は、自己都合・定年退職の場合と、倒産・解雇の場合とで長さが異なります。
自己退職・定年退職の場合
会社を自分の都合や定年退職の場合、基本手当を受給するには、離職日以前の2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12カ月以上必要となります。12ヶ月未満の場合は、所定給付日数はありません。
基本手当日額は、離職日以前6カ月間の給与と年齢によって決定されます。なお、基本手当の給付日数は離職時の年齢は関係なく雇用保険の被保険者期間で決まります。日数は以下の通りです。
- 被保険者期間が1年未満の場合…支給されない
- 被保険者期間1年以上10年未満の場合…90日
- 被保険者期間10年以上20年未満の場合…120日
- 被保険者期間20年以上の場合…150日
被保険者期間が長いほど、所定給付日数は長くなります。ただし、自己都合や定年退職の場合は最大でも150日しか基本手当を受けとることができません。
また、実際に支給を受けるには、ハローワークで申し込み後、7日間の待機期間に加えて、3か月間の給付制限があります。
倒産・解雇の場合
倒産や解雇などの特定の理由で離職した場合、基本手当を受給する要件は離職日以前の1年間に被保険者期間が6カ月以上必要となります。給付日数は年齢や被保険者期間でそれぞれ定められています。
自己都合や定年退職の場合と比べて、全体的に所定給付日数は長く、1年未満の被保険者期間でも90日の基本手当が支給されます。また、就職困難者の場合はさらに期間が長くなります。
最大の給付日数で330日となっており、該当するのは45歳以上60歳未満の者で、かつ、20年以上被保険者期間がある場合です。また倒産や解雇の場合はハローワークでの申し込み後、7日間の待機期間のみで支給開始されます。
手続き
求職者給付の基本手当を受給するためには、本人の住所を管轄するハローワークに離職票を提出し、失業認定を受ける必要があります。失業認定とは、要するに求職活動をしているにも関わらず、就職できていないことをハローワークに認めてもらうことです。
なお、この失業認定は、基本手当の受給期間中は4週間に1度の頻度で認定を受ける必要があります。基本手当は、働く意思と能力がある人に支給するものなので、定期的に要件を満たしているかを確認するためです。
まとめ
今回は学科の6教科の最初の1科目「ファイナンシャルプランニングと資金計画」のうち「雇用保険」についてお伝えしました。特に求職者給付は、会社員の方にとっては失業保険として必要な知識になるため、特に出題頻度も高いです。しっかり復習しましょう。
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