3級ファイナンシャル・プランニング技能士(以下、FP3級)の試験は、一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)と特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)の2団体が開催しています。
学科試験は共通の問題が出されますが、実技試験は団体によって異なるため、どちらで受験するかも非常に重要です。そこで今回の記事では、過去の試験の合格率から、難易度が低いのはどちらの試験かを読み解いてみます。
FP技能検定3級の合格率、難易度
きんざいおよび日本FP協会のWebサイトでは、過去に実施した試験の合格率が公表されています。
過去5回分の合格率を調べてみました
そこで、過去5回分(2021年5月実施分~2022年9月実施分)の試験について、合格率を調べてみました。
きんざいの場合
まず、きんざいが実施した試験の合格率は以下の通りです。
実施月 | 合格率(学科) | 合格率(実技ー個人資産相談業務) | 合格率(実技ー保険顧客資産相談業務) |
2022.9 | 43.41% | 58.23% | 43.28% |
2022.5 | 49.03% | 62.24% | 45.64% |
2022.1 | 62.52% | 53.14% | 39.53% |
2021.9 | 53.31% | 43.25% | 48.68% |
2021.5 | 47.81% | 59.63% | 47.76% |
出典:一般社団法人金融財政事情研究会の発表に基づき筆者作成
学科試験の合格率は、回によってかなりばらつきはありますが、だいたい4割~5割台で落ち着いています。一方、実技試験の合格率は個人資産相談業務と保険顧客資産相談業務ではかなり違うみたいです。合格率の高さだけで選ぶなら、個人資産相談業務を受験したほうが無難でしょう。
日本FP協会の場合
一方、日本FP協会が実施した試験の合格率は以下の通りです。
実施月 | 合格率(学科) | 合格率(実技ー資産設計提案業務) |
2022.9 | 80.78% | 84.44% |
2022.5 | 83.37% | 90.33% |
2022.1 | 87.01% | 90.75% |
2021.9 | 84.69% | 80.50% |
2021.5 | 83.25% | 76.65% |
2021.1 | 87.92% | 86.53% |
出典:日本FP協会「FP技能士の取得者数 及び 試験結果データ」を元に筆者作成
きんざいの場合と比べると、明らかに高いのがわかります。実技試験に至っては合格率が9割を超える回すらありました。
日本FP協会ときんざいで違うのはなぜ?
なぜ、このような違いが生まれるのか、考えてみましょう。学科試験は、どちらの団体で受験しても同じ問題が出題されます。それにも関わらず合格率が違う要因の1つとして考えられるのが、受験層の違いです。
きんざいの場合、「会社から資格を取得するように言われた」など、業務命令に基づき団体受験する層が、日本FP協会のケースに比べると多いのが特徴です。つまり、自分から進んで受験しているわけではない人も一定数混じっている可能性が高いため、合格率もそれほど高くない可能性があります。
一方、実技試験はきんざいと日本FP協会とで異なる問題が出題されます。出題の傾向も、きんざいは「狭く、深く」、FP協会は「広く、浅く」と対照的です。きんざいの実技試験が保険会社で働いているなど、すでに実務に就いている人向けの試験だとしたら、日本FP協会の場合は「まずはお金のことを学びたい人」向けの試験と言って良いでしょう。
【結論】日本FP協会を選び地道に勉強すれば合格できる
ここまでの内容を踏まえて、この記事における結論を出しておきましょう。会社経由で団体受験せざるを得なくなったなど、特殊な事情がある場合を除けば、日本FP協会で受験するのがおすすめです。
実技試験の合格率も8割を超えるケースがほとんどであるため、地道にやれば合格できる可能性は非常に高いといえます。参考書やテキストもたくさん出回っているので、自分に合ったものを選んで頑張ってみましょう。
社会的な評価はまったく変わらない
実際のところ、どちらの団体が開催する試験を受験したとしても、合格したら3級FP技能士を名乗れることには変わりありません。社会的な評価もまったく変わらないなら、合格率が高い試験を受験したほうが楽でしょう。そういう意味でも、特殊な事情がない限りは日本FP協会での受験を前提に考えるのをおすすめします。
合格率80%=不合格率20%であることに注意
ただし、合格率が高いからといって油断してはいけません。合格率80%は、裏返せば不合格率20%である点にも注意すべきです。FP3級の試験は3択で出題されるため、まったくわからなかった場合でも白紙にさえしなければ、3分の1の確率で得点はできます。
しかし、偶然にだけ頼っていて合格できるほど甘くはありません。気を引き締めて、やれることをやった上で試験に臨みましょう。
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