今回は、学科の6教科の2科目目「リスク管理」のうち「損害保険」について解説していきます。
損害保険の概要と原則
損害保険とは、偶然の事故や災害等に対する経済的損失を補償するための保険制度です。
普段の暮らしの中で起きる偶発的な損害を補償する火災保険、地震保険、自動車保険、傷害保険など様々な種類があります。
生命保険と同様に損害保険にも2つの原則があります。
給付・反対給付均等の原則
リスクの危険度に応じた保険料を負担しなければならないという原則のことを給付・反対給付均等の原則と言います。
給付、反対給付とは、支払う保険金や受け取る保険料のことです。
保険料は、被保険者のリスクの大きさや、事故、災害等の発生確率に応じた適正な金額で算出されます。別名、レクシスの原則とも呼ばれます。
利得禁止の原則
実際の損害以上の保険金を受け取ってはならないという原則のことを、利得禁止の原則と言います。
損害保険の掛け方
損害保険の掛け方には次の3つの種類があります。
超過保険
超過保険とは、保険金額が保険価格よりも大きい保険のこと言います。なお、損害額は全額支払われます。
全部保険
全部保険とは、保険金額と保険価格が同じ保険のことを言います。なお、損害額は全額支払われます。
一部保険
一部保険とは、保険金額が保険価格よりも小さい保険のことを言います。保険金額と保険価格の割合により保険金が削減されます。
損害保険商品の分類
どのような損害を対象とするかによって損害保険商品を分類すると、以下の4つの種類となります。
モノ保険
建物や自動車など具体的なモノに生じた損害を対象とする保険です。
例えば、火災保険や車両保険などが挙げられます。
ヒト保険
ヒトの怪我などを対象とする保険です。
例えば、傷害保険などがこれに挙げられます。
賠償責任保険
第三者に対する損害賠償責任を対象とする保険です。
例えば、対人・対物賠償保険、個人賠償責任保険などが挙げられます。
その他の保険
上記以外の損害を対象とする保険です。
例えば、所得保障保険などが挙げられます。
火災保険の概要
火災保険は、主に火災によって生じた建物や家財の損害を保証する損害保険です。
火災以外にも、落雷、風災、爆発、破裂、雪災によって生じた損害も保証を受けることができます。
なお、住宅総合保険の場合、水災や盗難なども補償されます。
保険料は建物の所在地や構造によって異なり、建物と家財は別々に契約します。
火災保険の保険金額
住宅を保険の対象とする火災保険では、契約時の保険金額が保険価格の80%以上であるかどうかによって支払額の算出方法が異なります。
保険金額が保険価格の80%以上の場合、保険金額を上限として実際の損害額を支払う実質てん補となります。
保険金額が保険価格の80%未満の場合、契約した保険金額が保険価格より少ない場合、その割合に応じて減額される比例てん補となります。
なお、保険金額とは、契約で設定した保険金であり、保険価格とは、保険の対象ごとに設定されている損害の最大見積額のことです。
また、全部保険と超過保険の場合は実損てん補として実際の損害額が支払われます。一部保険の場合、保険金額が保険価格の80%未満であれば、比例てん補によって保険金が計算されます。
比例てん補の計算式は以下となります。
例えば、
・実際の損害額が6,000万円
・保険金額が1億2,000万円
・保険価格が2億円
の場合
保険価格2億円×80%=1億6,000万円
保険金額1億2,000万円÷1億6,000万円=0.75
損害額6,000万円×0.75=4,500万円
となるので、保険金は4,500万円になります
地震保険の概要
火災保険では、地震、噴火、津波によって生じた損害については補償されないので、これらの損害に備えるために地震保険に加入する必要があります。
地震保険は、単独では加入できず、一般的に火災保険に付帯されています。もし地震保険に加入しない場合、その旨の申し出が必要となります。
補償は、住宅と住宅内の家財が対象となります。ただし、1個または1組の価格が30万円を超える貴金属や宝石などは補償の対象外となります。
保険金額は、火災保険の30〜50%の範囲で設定できます。ただし、建物5,000万円、家財1,000万円の上限があります。
保険期間は、原則1年となります。ただし、主契約の火災保険が5年超の場合、1年ごとの自動継続もしくは5年ごとの自動継続が選択できます。
まとめ
今回は、学科の6教科の2科目目「リスク管理」のうち「損害保険」についてお伝えしました。
「損害保険」は「生命保険」と比べると、覚えることも少なく、覚えやすいです。
出題頻度も高いので、しっかり復習して頭に叩き込みましょう。
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