簿記3級を飛ばして2級を受けるのはおすすめしない3つの理由

簿記
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日本商工会議所および各地商工会議所が実施する簿記検定は認知度が高く、毎年たくさんの人が受験する資格試験の1つです。

一般的には、3級から受験し、その後2級→1級とステップアップしていく流れです。

しかし「受験料がもったいない」「できるだけ早く合格したい」などの理由で、3級を受験せず、いきなり2級から受験する人もいます。

人にはそれぞれ考え方や事情があるので否定はしませんが、筆者はおすすめしません。
その理由を詳しく解説します。

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理由1.簿記3級の知識がないと簿記2級の問題は解けないから

1つ目の理由は「簿記3級の知識がないと簿記2級の問題は解けないから」です。

簿記2級の商業簿記は簿記3級の知識がベースになっている

簿記2級では、商業簿記・工業簿記の2分野から問題が出題されます。第1~3問が商業簿記、第4~5問が工業簿記です。そして、商業簿記で出題される内容は、3級での出題内容プラスアルファとなっています。

つまり、3級を飛ばしていきなり2級とやってしまうと、ベースになる知識が身についていない状態で勉強を進めることになるでしょう。きわめて理解力が高い人なら別ですが、そうでない人は勉強に苦戦するかもしれません。結果として時間がかかってしまいます。

時間が無限にあるならそれでもかまいませんが、できるだけ短期間で合格したいなら逆効果です。急がば回れ、の精神で基礎を着実に積み上げるようにしましょう。

理由2.簿記の勉強のしかたが身についていないから

2つ目の理由として「簿記の勉強のしかたが身についていないから」が挙げられます。

インプット→アウトプットの繰り返しに慣れよう

細かい部分は人によって異なりますが、簿記の勉強のしかたの基本は「インプット→アウトプットの繰り返し」です。つまり、テキストで必要な知識を吸収し、得た知識を使って問題集が解けるかを試すのを繰り返すことになります。一度身につけてしまえば何てことはありませんが、初めてチャレンジする人が慣れるには多少時間がかかるでしょう。

3級の受験経験があれば、ある程度は簿記の勉強のしかたが身についた状態で2級の勉強にも取り組めます。2級は3級に比べて勉強しなくてはいけない範囲が格段に増える以上、勉強スタイルの確立に時間をかけている暇はありません。やはりこちらも、急がば回れの精神で取り組むのが大事です。   

理由3.簿記2級は言うほど簡単でもないから

3つ目の理由は「簿記2級は言うほど簡単な資格でもない」からです。

過去3年間の合格率を調べてみました

簡単かどうかの客観的なデータになりうるのが、試験の合格率です。そこで、日本商工会議所が公表している2級試験の合格率を調べてみました。

回          受験者数(申込者数)     実受験者数               合格者数              合格率 
161(2022.6.12)        16,856名              13,118名              3,524名26.9% 
160(2022.2.27)        21,974名              17,448名              3,057名17.5% 
159(2021.11.21)        27,854名              22,626名              6,932名30.6% 
158(2021.6.13)        28,572名              22,711名               5,440名24.0%
157(2021.2.28)        45,173名              35,898名              3,091名 8.6% 
156(2020.11.15)        51,727名              39,830名              7,255名18.2% 
155(2020.6.14)        中止
154(2020.2.23)        63,981名              46,939名              13,409名              28.6% 
153(2019.11.17)        62,206名               48,744名              13,195名              27.1% 
152(2019.6.9)        55,702名              41,995名              10,666名               25.4% 
151(2019.2.24)        66,729名              49,766名              6,297名12.7% 

出典:日本商工会議所・各地商工会議所「2級受験者データ」

回によってかなり合格率に差はありますが、ここ3年間は30%を10%~20%台で推移しているといったところです。過去には47.5%(第147回、2017年11月19日実施)とかなり高い合格率をたたき出したこともありましたが、かなりのレアケースでしょう。

炎上も起きています

また、近年はかなり難易度の高い問題も出題されています。LECなどの大手資格試験予備校が「公認会計士試験の受験生でも解けないのでは?」と講評するなど、幅広く議論を巻き起こすほどの事態も起きました。

自分が実際に受験するときにどんな問題に当たるのかはまったくわかりません。サービス問題であればラッキーですが、炎上問題に当たってしまう可能性だって考えられます。「簿記2級はいうほど簡単ではない」と言い聞かせ、気を引き締めてとりかかりましょう。

何事も基本が大事。まずは簿記3級からはじめよう

結局のところ、2級の試験は3級の知識を踏まえてさらに新しいことを学ばないと太刀打ちできません。どこかのタイミングで腰を据えて基本を身につける必要がある以上、まずは3級の受験から始めたほうが結果的に近道です。

現在は3級も2級もWeb試験が実施されているので、自分の好きなタイミングで受験できます。一歩一歩着実に知識を身につけるのを意識して、コツコツと取り組みましょう。

荒井美亜

立教大学大学院卒業(会計学修士)。
専門誌記者、Webマーケティング会社でのライターなどを経て現在はフリーランスライター・独立系FPとして活動。
日商簿記検定1級、税理士簿記論・財務諸表論、2級FP技能士、貸金業務取扱主任者などを持つ資格マニア。
今は宅地建物取引士目指して勉強中です。

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