日本商工会議所および各地商工会議所が実施する簿記検定試験=日商簿記検定は簿記の資格の中でもトップクラスの知名度を誇ります。
まったくの初心者であれば3級から受験するの一般的です。
しかし、「3級でしょ?あまり役に立たないよ」と誤解している人も珍しくありません。
そこで今回の記事では「簿記3級でも案外役に立つ」という事実を立証すべく、簿記3級で応募できる求人がどれぐらいあるか調べてみました。
なお、本記事においては、特に断りがない場合は「日本商工会議所及び各地商工会議所主催 簿記検定試験」の3級を「簿記3級」と表記します。
簿記3級で応募できる求人はどれだけあるのか
早速、大手求人サイト「インディード」を使い、以下の条件でヒットする求人数の数を確かめてみることにしました。
● 検索キーワードに「簿記3級」を含む
● 雇用形態、学歴は問わない
● 勤務地は東京都、大阪府、鳥取県
なお、調査は2022年4月25日に実施しています。
東京都の場合
人口ナンバーワンの東京都であれば、求人自体も多いはずです。やはり、簿記3級で応募できる求人の数も4,416件とかなりの数がヒットしました。
引用元:簿記3級の求人 – 東京都 | Indeed (インディード)
大阪府の場合
西日本代表ということで、大阪府の簿記3級で応募できる求人の数も調べてみましょう。1,559件と東京には及ばないものの、数多く出回っています。
引用元:簿記3級の求人 – 大阪府 | Indeed (インディード)
鳥取県の場合
人口が少ない都道府県での事情も調べてみよう!ということで、鳥取県についても調べてみました。32件と東京や大阪に比べると圧倒的に少ないですが、まったく出回っていないわけではないので望みは十分にあります。
引用元:簿記3級の求人 – 鳥取県 | Indeed (インディード)
簿記3級で応募できる求人の仕事内容は?
求人においては数もさることながら「何をやるのか」も同じくらい重要でしょう。簿記3級で応募できる求人の仕事内容を調べてみました。
会計事務所・税理士事務所のスタッフ
比較的ポピュラーなのが、会計事務所や税理士事務所のスタッフです。税理士補助業務を行います。具体的に何をするのかは担当するクライアントや事務所の方針によっても異なりますが、以下の業務を担当するのが一般的でしょう。
記帳(経理事務)代行 | ・請求書、領収書、現金出納の仕訳 ・会計ソフトへの伝票入力、勘定元帳の作成 ・書類のファイリング ・決算書の作成 |
総務・人事業務 | ・給与計算 ・年末調整 |
巡回訪問 | ・帳簿のチェック・経営者や経理担当者への助言 ※経営、会計など「税務相談」にあたらない範囲 |
一般企業・事業所の経理スタッフ
一般企業・事業所の経理スタッフの求人でも、簿記3級を取得していれば初心者でも応募できるのは珍しくありません。
これも、具体的に何をするのかは職場によってかなり異なりますが、一般的には以下の業務を担当します。
● 日々の売上管理、仕入管理
● 給与・保険の管理・計算
● 税金の計算
● 決算書作成
一般事務よりは求人が出回っている
事務職を目指したい人にも、簿記3級はおすすめです。
営業職のように外回りがない上に、たいていの場合は定時退社できることから、事務職は総じて人気があります。
しかし、人気がある以上、1人しか採用しない求人に10人以上が応募してくるのも珍しくありません。
かなり厳しいですが、どうしても事務職として働きたいなら、簿記3級を取って経理事務を目指すほうがまだ道は開けるでしょう。
厚生労働省がまとめている一般職業紹介状況(令和4年2月分)によると、一般事務の有効求人倍率が0.37だったのに対し、会計事務(=経理事務)の有効求人倍率は0.62と大きく上回りました。
引用元:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和4年2月分)について」
つまり、一般事務より経理事務の方が求人が出回っているので、採用される見込みもあるということです。
さらにキャリアアップを狙うなら簿記2級・1級も狙うべき
簿記3級でも十分応募できる求人はありますが、さらにキャリアアップを狙うなら2級、1級とステップアップしましょう。
簿記3級・2級・1級を徹底比較
わかりやすくするために、表にまとめてみました。
級 | 出題範囲 | 合格率 | 備考 |
3級 | 商業簿記 | 50.9%(2022.2.27実施、第160回の場合) | 小規模な株式会社の経理実務がこなせる |
2級 | 商業簿記工業簿記 | 17.5%(2022.2.27実施、第160回の場合) | 実務をこなすならここまであればまずは十分 |
1級 | 商業簿記会計学工業簿記原価計算 | 10.2%(2021.11.21実施、第159回の場合) | 税理士試験の受験資格が得られることからもわかるように、かなり高い |
簿記試験は実施回によってもかなり合格率が異なりますが、3級までにくらべると2級、1級はぐっと難しくなります。しかし、身につく知識が多い分、任せてもらえる仕事の範囲も広がるはずです。
キャリアアップを狙うなら、果敢に簿記2級、1級の試験にもチャレンジしていきましょう。
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