今回は、学科の6教科の最初の1科目「ファイナンシャルプランニングと資金計画」のうち「公的介護保険」について解説していきます。
公的介護保険の概要
公的介護保険制度とは、国民が支払う介護保険料をもとに、介護が必要になった人に対して給付や支援を行う制度のことです。
支援の対象者は、事前に市町村から要介護(5段階)や要支援(2段階)の認定を受け、原則として1割の自己負担で様々な介護サービスを受けることができます。
加入対象者
加入対象者は年齢に応じて2つに区分されます。
- 第1号被保険者:65歳以上
- 第2号被保険者:40歳以上65歳未満
介護保険では、40歳以上が被保険者になり、介護保険料の支払いが発生します。
第1号被保険者は、事前に市町村から要介護や要支援の認定を受けていれば介護保険の給付対象となります。
第2号被保険者は、末期がんや関節リウマチなどの「特定疾病」により要介護・要支援の認定を受けた場合のみ、介護保険の給付対象となります。
保険料について
第1号被保険者の場合、地町村ごとに被保険者の所得に応じて保険料を徴収します。市町村ごとに保険料は異なります。
保険料は、原則として公的年金から天引きされますが、公的年金の受取額が年間18万円未満の人は、口座振替による徴収となります。
第2号被保険者の場合、保険料率は協会けんぽの場合は全国一律、組合けんぽの場合は組合ごとに異なります。保険料は、公的医療保険の保険料と合わせて徴収されます。
健康保険の被保険者が40歳未満であれば、その配偶者が40歳以上で第2号被保険者に該当しても、原則として介護保険料は徴収されません。
介護認定の手続き
介護保険のサービスは、65歳になるともらえる「介護保険の被保険者証」を持っているだけでは受けられず、市町村から要介護または要支援の認定を受けなければなりません。
そのため、認定を受けるためにまず住んでいる市町村の窓口に申し込みを行う必要があります。
申し込みを受けた市町村では、「認定調査」を行います。
本人への訪問調査や医師の意見書をもとに、要介護や要支援の認定を行います。
認定は原則として申請から30日程度要します。
要介護(5段階)、要支援(2段階)、非該当(自立)のいずれかに認定されます。
要介護に認定されると、「介護保険サービス」が利用できるようになります。
要支援の場合、「介護予防サービス」が利用できます。
市町村の認定結果に納得できない場合は、「介護保険審査会」に不服を申し立てることができます。
また、認定は永久に有効であるわけではなく、有効期間があり、新規申請の場合は原則6か月、更新の場合は12か月です。
更新の申請は、有効期限が満了する60日前から満了日までに行う必要があります。
介護認定後、ケアマネージャーに「ケアプラン」(介護サービス計画書)を作成してもらい、そのケアプランに沿った介護サービスを受けることができます。
ケアプランの作成は無料で行うことができ、自ら作成することも可能です。
介護保険の給付と自己負担
介護保険の給付には、要介護者に対する「介護給付」と要支援者に対する「予防給付」の2種類があります。
「介護給付」の対象となる介護サービスは以下の3種類です。
- 居宅サービス:ホームヘルパーが自宅を訪問して行うサービス
- 施設サービス:特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで提供するサービス
- 地域密着型サービス:各市町村が指定した事業者が行うサービス(夜間対応型訪問介護など)
介護サービスを受けた場合の自己負担割合は原則1割となります。
ただし、介護施設での食事代や居住費用は全額自己負担となります。
また、単身世帯の場合、年金収入等が280万円以上だと2割負担、340万円以上だと3割負担となります。
まとめ
今回は学科の6教科の最初の1科目「ファイナンシャルプランニングと資金計画」のうち「公的介護保険」についてお伝えしました。
「要介護」と「要支援」の違い、「保険対象者」や「給付方法」などそれぞれのポイントをしっかり押さえられれば、得点を取ることができますので、しっかり復習しましょう。
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