今回は、学科の6教科の最初の1科目「ファイナンシャルプランニングと資金計画」のうち「労災保険」について詳しく解説していきます。
労災保険(労働者災害補償保険)の概要
労災保険とは、労働者災害補償保険の略称で、労働者の業務上または通勤途上の負傷、疾病、障害、死亡に対して保険給付を行うものです。雇用形態や労働時間に関係なく自動的に加入します(被保険者となる)。
労災保険では、原則として1人以上の労働者を使用する全ての事業所が対象となり、保険料は全額事業主負担になります。
また、保険料率は業種によって異なり、危険度が高い業種ほど保険料は高くなります。被保険者は、正社員だけでなく、アルバイトやパートも被保険者になります。
通勤途上の災害について
労災保険は、労働者の通勤途上の災害に対して保険給付を行うものですが、通勤中の災害とは、通常利用する経路で自宅と会社を移動する間に起きた災害のことで、寄り道中に事故にあった場合は対象外となります。
業務上で起きた病気やケガを「業務災害」と、勤務途中で起きた場合は「通勤災害」と呼ばれます。ただし、日用品の購入など、必要な行為、やむを得ない行為と認められるものは通勤災害と認められます。
業務上の災害について
労災保険は、労働者の業務上の災害に対しても保険給付を行うものですが、業務中の災害と認定されるには、業務起因性と業務遂行性の両方が認められることが必要となります。
業務起因性とは、業務または業務行為を含めて、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態に伴って危険が現実化したものと経験則上認められることを指します。
簡単に言うと、病気やケガの原因が業務に起因するかということです。
業務遂行性とは、ケガや病気になった時に事業主の支配下にあることを指します。業務中はもちろん、例えば昼食休憩中でも事業主の支配下にあるとみなされます。
そのため、災害発生時に仕事をしていたかどうかが問われます。
労災保険の給付
代表的な労災保険の給付として以下の5つがあります。それぞれどういった時に支給されるのか、しっかり押さえましょう。
療養補償給付
業務上または通勤途上の災害で治療を労災病院などで受けた場合、治療費は労災保険から全額支払われます。
やむを得ず指定以外の病院等で治療を受けた時に立て替え払いをした場合は、療養の費用が支給されますので、労働者の自己負担はありません。
休業補償給付
業務上または通勤途上のケガ等が原因で会社を休み、かつ、その期間の給料が支払われない場合、休業4日目から1日につき給付基礎日額の60%が支給されます。
さらに、上記とは別に休業特別支給金として給付基礎日額の20%が支給されます。
傷病補償給付
業務上または通勤途上のケガ等を原因とする療養を始めて一定期間経過しても、傷病等級1級から3級に該当する一定の傷病が残っている場合に支給されます。
障害の程度が重い場合は年金、比較的軽い場合は一時金が支給されます。
さらに、上記とは別に、障害特別支給金が一時金として支給されます。
障害補償給付
業務上または通勤途上のケガ等により体に障害が残った場合、その障害の程度に応じて支給されます。障害の程度が重い場合は年金、比較的軽い場合は一時金が支給されます。
さらに、上記とは別に、障害特別支給金が一時金として支給されます。
遺族補償給付
業務上または通勤途上の災害により死亡した場合、遺族に給付されます。
遺族補償給付は年金で、遺族の数が多いほど支給日数が長くなります。
遺族補償給付を受け取る優先順位は、配偶者が最優先されます。さらに、上記とは別に、遺族特別支給金が一時金として給付されます。こちらは遺族の数に関係なく、一律300万円となります。
まとめ
今回は学科の6教科の最初の1科目「ファイナンシャルプランニングと資金計画」のうち「労災保険」についてお伝えしました。
会社員の方は聞いたことがあるかもしれませんが、実際に給付を受けた方は少なく、あまりイメージが湧かないと思います。
ですが「労災保険の概要」や「給付方法」についてしっかり押さえられれば、得点できますので、復習しましょう。
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