今回は、学科6教科のうちの4科目目、「金融資産運用」のうち「外貨建て金融商品と金融派生商品」について解説していきます。
外貨建て金融商品の基礎知識
外貨建て金融商品とは、取引価格が米ドルや豪ドルなどの外貨建てで表示されている金融商品を言います。
外貨建て金融商品を購入する際、為替レートを使いますが、この基準値となる価格を仲値(TTM)と言います。
このTTMは金融機関ごとに、その日のレートによって決められており、取引の基準値として利用されています。
- 外貨商品を買う場合→TTMに金融機関ごとに定めている為替手数料を加算したTTS(対顧客電信売相場)の価格で購入
- 外貨商品を売る場合→TTMに金融機関ごとに定めている為替手数料を差し引いたTTB(対顧客電信買相場)の価格で売却
また、外貨建て商品の取引には、為替レートの変動による影響があります。
為替レートの変動によって生じた利益を為替差益、反対に為替レートの変動によって生じた損失を為替差損と言います。
主な外貨建て金融商品
主な外貨建て金融商品は、以下のようなものがあります。
外貨預金
外貨で行う預金で、仕組みは普通預金と同じです。中途解約はできません。
なお、こちらの商品は、預金制度の保護の対象外となります。
利息は利子所得、為替差益は雑所得に分類されます。
外国株式
外国企業の発行している株式です。
取引を行うにあたっては、証券会社に外国証券取引口座を開設する必要があります。
取引方法は3つあります。
- 証券会社が投資家の売買注文を取り次いで、外国の市場で売買する外国取引
- 国内の証券取引所に上場されている外国株式を売買する国内委託取引
- 証券会社が保有する外国株式を国内で売買する国内店頭取引
国内株式と同様、売却益は譲渡所得、配当金は配当所得に分類されます。
外国債券
発行者、発行場所、通過のいずれかが外国である債券です。外国株式と同じく、取引を行うにあたっては、証券会社に外国証券取引口座を開設する必要があります。
債券の種類は3つあります。
- 払込み、利払い、償還の全てが外貨建ての債券である外貨建て外債
- 払込み、利払い、償還の全てが円建ての債券である円建て外債
- 払込、利払い、償還に複数の通貨が用いられる外国債券である二重通貨建債券
特に以下の債券については名称があります。
- ショーグン債:外貨建て外債のうち外国の発行者が日本国内で発行するもの
- サムライ債:円建て外債のうち外国の発行者が日本国内で発行するもの
- ユーロ円債:円建て外債のうち発行者を問わず、ユーロ市場で円建てで発行するもの
二重通貨建て債券については、払込みと利払いが同じ通貨で償還が異なる通貨のものをデュアルカレンシー債、払込みと償還が同じ通貨で利払いが異なる通貨のものをリバース・デュアルカレンシー債と言います。
外国投資信託
ファンドの国籍が外国にあり、外国の法律に基づいて認定される投資信託です。
代表的なものに外貨建てMMF(外国籍の公社債投資信託)があります。
外貨建てMMFの特徴としては、以下が挙げられます。
- 外貨建ての公社債や短期の金融商品などで運用される。
- 申込手数料は無料となる。
- いつでもペナルティなしで解約が可能。
- 外貨預金と比べて、為替手数料が安い。
- 外貨建てMMFのみの利用であれば、外国証券口座の口座管理料はかからない。
- 売却益は譲渡所得。
外国為替証拠金(FX)取引
一定の証拠金を担保として、外国通過の売買を行う取引のことを言います。
少額の証拠金で何倍もの外貨を売買することができるため、ハイリスクハイリターンの取引となります。
金融派生商品
金融派生商品とは、デリバティブ商品とも言い、株式や債券などの金融商品に新しい仕組みを付加させることで別の商品に派生させた商品のことを言います。
金融派生商品には、以下のものが挙げられます。
先物取引
先物取引とは、将来の一定時点において、特定の商品を、取引時点の価格で売買することを約束する取引のことを言います。
オプション取引
オプション取引とは、特定の商品を、将来の期日までに、あらかじめ定められた価格で、買うことができる権利、または、売ることができる権利に対して、オプション料を支払って売買することを言います。
あらかじめ決められた価格のことを、権利行使価格と言い、この価格で買うことができる権利をコールオプションと言い、売ることができる権利をプットオプションと言います。
スワップ取引
スワップ取引とは、金利や通貨から生じるキャッシュフローを交換する取引のことを言います。スワップ取引には、異なる通貨の債権・債務を交換する通貨スワップや、変動金利と固定金利を交換する金利スワップなどがあります。
まとめ
今回は、学科の6教科の4科目目「金融資産運用」のうち「外貨建て金融商品と金融派生商品」についてお伝えしました。
普段耳にしない言葉も多く難しい内容と思われるかもしれませんが、試験では基本的なことが問われることが多いので、あまり力を入れすぎなくても大丈夫です。しっかり復習して試験に臨みましょう。
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