今回は、学科６教科のうちの4科目目、「金融資産運用」のうち「ポートフォリオ理論」について解説していきます。
ポートフォリオ理論の基礎知識
ポートフォリオ理論とは、分散投資の考え方を経済学的に体系化した理論です。
特定の銘柄を厳選するのではなく、広く市場全体を見渡し、性格の異なる複数の銘柄に投資をすることでリスクを分散し、同時に収益をあげていくことを研究した理論のことを言います。
このポートフォリオ理論のポートフォリオとは、所有する資産の組み合わせのことを言い、ポートフォリオ運用とは、性格の異なる複数の銘柄に投資することによって、リスクを低減し、安定した運用を行うことを言います。
この場合のリスクとは、不確実性のことを言い、利益や損失がどの程度発生するか不確実なことを指します。
つまり、様々なポートフォリオを組むことでリスクを最小化しつつリターンの最大化を図ることを目指していくことがポートフォリオ理論の目標です。
また、投資資金を株式、債券、不動産などの複数の異なる資産に配分して運用することを、アセット・アロケーションと言います。
ポートフォリオが、個別銘柄の組み合わせを指すのに対し、アセット・アロケーションは、資産クラスの組み合わせを指します。
ポートフォリオ理論の指標
ポートフォリオ理論で用いる指標には、投資収益率、期待収益率、分散・標準偏差の3つがあります。
投資収益率
投資収益率とは、投資効果を計る指標のひとつで、投資額に対して、どのくらいの利益があったかを年率で表したもののことを言います。
また、総合利回りとも言い、配当、株主優待などのインカムゲインや譲渡益などの総合的な投資収益を投資額で割って求めます。
具体的には、投資利益率(%)＝投資収益÷投資額×100で求めることができます。
期待収益率
期待収益率とは、資産の運用により獲得が期待できる収益の平均値のことを言います。
また、要求収益率とも言い、予想されるシナリオとそのシナリオが発生する確率を決めて、それぞれの予想投資収益率を加重平均することによって求めます。
期待収益率は、各資産の収益率×組み入れ比率の合計で求めることができます。
③ 分散・標準偏差
データのばらつき具合を測る指標に分散・標準偏差があり、求め方は以下のようになります。
- 分散＝「(ある状況における収益率-期待収益率) ²×確率」の合計
- 標準偏差＝ √分散
分散・標準偏差が大きい証券ほどリスクが大きく、小さい証券ほどリスクが小さくなります。
ポートフォリオの効果
原則として、2つの資産を組み合わせたポートフォリオのリスクは、それぞれの資産のリスクを加重平均したものよりも小さくなります。
よりポートフォリオのリスクを低減させるためには、できるだけ異なる値動きをする資産や銘柄を組み合わせる必要があります。
この組み合わせる資産の配分割合を決めるにあたり、各資産の価格変動の関連性を示す指標として相関係数が活用されています。
相関係数とは、相関関係を「1」から「－1」までの値で表したもので、相関関係が「－1」に近づくほど、リスク低減効果が期待できます。
例えば、相関係数が「1」の場合、各資産の値動きが全く同じであることを意味しますので、リスク軽減効果はない、と判断されます。
一方、 相関係数が「－1」の場合、各資産の値動きが全く違うことを意味しますので、リスク軽減効果は高いと判断されます。
なお、分散投資によってリスクを低減することができますが、市場全体の変動が株価の変動に影響を及ぼす場合、分散投資によるリスク低減効果が働かなくなります。
このような株式市場の変動による当該株価の変動リスクのことをシステマティックリスクと言います。
また、分散投資による投資効率を見る指標として、シャープレシオがあります。
シャープレシオは、(ポートフォリオの収益率-無リスク資産の収益率)÷ポートフォリオの標準偏差で求めることができ、数値が大きいほど投資効率が良く、投資のパフォーマンスが良かったことを示します。
まとめ
今回は、学科の６教科の3科目目「金融資産運用」のうち「ポートフォリオ理論」についてお伝えしました。
実際に投資信託を購入し、運用したことのある方なら耳にしたこともあると思いますが、初めての方にとっては難しい内容だったのではないかと思います。
しかし、実際のテストでは深く聞かれることはなく、この分野からの出題としては1問程度なのでざっくり押さえておけば問題ありません。
ただ、これから投資を始めてみたいと思う方は、非常に重要な知識となるので、この記事だけでなく、自分で調べ、より知識を深めてください。
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