ITパスポートの出題範囲はストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系の3分野に分かれています。
今回はストラテジ系の中の「企業と法務」について解説していこうと思います。最後に例題もありますので、ぜひ最後までお読みください!

ストラテジ系の試験内容
ストラテジ系は経営全般に関する基本的な知識や考え方について出題されます。企業と法務、経営戦略、システム戦略の3つの分野で構成されています。
それぞれを簡単に説明すると下記のようになります。
- 企業と法務 :会社の仕組みと法律
- 経営戦略 :会社を成長させるための分析手法
- システム戦略:情報システムを正しく構築するための知識
ストラテジ系について学ぶと、経営と情報システムに関する基礎を身につけることができます。今回は「企業と法務」について解説いたします。
企業と法務の内容
企業と法務は「企業活動」と「法務」に分類され、企業活動の分野では経営の基本や、企業の分析方法について学び、法務の分野では知的財産権や個人情報保護法など、会社の経営と深く関わる法律の知識について学びます。
企業活動
企業活動の分野で学べる内容は以下の通りです。
- 企業活動や経営管理に関する基本的な考え方
- 社会におけるIT利用・活用の動向
- 分析や、PDCAの考え方、作業計画、図表及びグラフによるデータ可視化などの手法
- データ(ビッグデータを含む)を分析して利活用することによる、業務改善や問題解決の手法
- 財務諸表、損益分岐点など会計と財務の基本的な考え方
例えば、「ブレーンストーミングの進め方は?」「この損益計算書からなにがいえますか?」などが出題され、会社経営に関する知識や課題解決の手法、業務を行うための知識、会計に関する知識などが問われます。
これらは、社会人の知識としても必要なことですので集中して取り組みましょう。
法務
法務の分野で学べる内容は以下の通りです。
- 知的財産権(著作権法、産業財産権関連法規など)、セキュリティ関連法規(サイバーセキュリティ基本法、不正アクセス禁止法など)、個人情報保護法、労働基準法、労働者派遣法、その他の取引関連法規など、身近な職場の法律
- ライセンス形態、ライセンス管理など、ソフトウェアライセンスの考え方
- コンプライアンス、コーポレートガバナンスなど、企業の規範に関する考え方
- QRコードやLANなどの標準化について
例えば、「プログラムやアルゴリズムは著作権で保護される?」「フレックスタイム制とは?」「個人情報取扱事業者の義務は次のうちどれ?」などの問題が出題されます。
会社経営に関わる法律、ライセンス、標準化された規格などを理解していることが問われます。
例題
最後に例題に挑戦してみましょう。企業活動の分野と法務の分野から1問ずつ出題します。
問1 問題解決の手法の一つであるブレーンストーミングのルールとして、適切なものはどれか。
A 各自がアイディアを練り、質が高いと思うものだけを選別して発言する。
B 他人が出したアイディアを遠慮なく批判する。
C 他人の出したアイディアに改良を加えた発言は慎む。
D 突飛なアイディアを含め、自由奔放な発言を歓迎する。
解答 D
ブレーンストーミングは、様々なアイデアを幅広く集めるために行われる手法です。
ブレーンストーミングでは、参加者が遠慮せずにいろいろな意見を発言できるように、以下のルールが決められています。
- 批判しない
- 自由に発言する
- 質よりも量を重視する
- アイデア同士を結合する
問2 特段の取決めをしないで,A社がB社にソフトウェア開発を委託した場合,ソフトウェアの著作権の保有先として,適切なものはどれか。
A ソフトウェアの著作権はA社とB社の双方で保有する。
B ソフトウェアの著作権はA社とB社のどちらも保有せず,消滅する。
C ソフトウェアの著作権は全てA社が保有する。
D ソフトウェアの著作権は全てB社が保有する。
解答 D
このケースでは、A社がB社にソフトウェア開発を委託しているので「請負契約」が成立しています。
請負契約とは、請負人がある仕事を完成することを約束し、発注者がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを内容とする労務供給契約の一種であり、請負元が自社の社員に対して、請負事業の指揮命令をするものです。
請負契約では、特段の取り決めをしない限り、請負業者が開発した著作物の著作権は請負業者に帰属するので、ソフトウェア著作権の保有者は請負業者であるB社になります。
最後に
企業と法務の分野では、会社を成長させるための手法や、法律に関する知識が学べます。仕事をするための正しい手法が覚えられたり、法律に関する正しい知識が得られるので、仕事を効率的に進めたり法律での失敗を避けることができます。
ぜひ、あなたもこの機会にITパスポートに挑戦してみましょう!
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